なぜ私たちは生徒に英検を受けさせ、大学受験のために単語を暗記させるのでしょうか。「就職や進学で有利になるから」というのは、社会のシステムが作り出した表面的な理由に過ぎません。

自己効力感という「一生モノのパスポート」

カナダの心理学者アルバート・バンデューラは、人が困難な課題に立ち向かうための原動力を「自己効力感(Self-efficacy:自分ならできるという感覚)」と呼びました。

就職して社会に出ても、専門学校で技術を学んでも、大学で研究をしても、グローバル化が進む現代では必ず「想定外の異文化や価値観」との遭遇が待っています。その時に、「言葉の壁や文化の違いがあっても、私ならなんとかコミュニケーションを取って乗り越えられるはずだ」と思えるかどうか。

英検に合格したり、英語を話せたという小さな成功体験を積んだりする本当の理由は、この「自己効力感」という一生有効なパスポートを脳に刻み込むためなのです。

小さな成功体験をデザインする

しかし、「我慢して黙って聞く」だけの受動的な教室では、この自己効力感は絶対に育ちません。だからこそ、教師は「与えられた枠組み」の中で嘆くのをやめ、ゼロから新しい仕組みを生み出す必要があります。

スピーキングアプリ「PicSpeak」の根底にあるのは、「Gamification(ゲーム化)」の理論です。日本語を介さずダイレクトに英語を発し、正解すれば画面が光る。この即時フィードバックが、生徒から「間違えたら恥ずかしい」という恐怖を奪い去り、「通じた!できる!」という有能感を育てます。

そして、そこで得た小さな自信を胸に、「Global Classroom」という舞台で海外の同世代とリアルに繋がり、笑い合う。このサイクルこそが、次世代を担う生徒たちに本当に必要な教育の形だと、私は確信しています。

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