言葉が持つ「人間と人間を繋ぐサバイバル機能」を、私はJICAの海外研修で訪れたネパールで痛感しました。

標高が高くインフラも未整備な地。研修中、突然の土砂崩れによる道路封鎖や、長時間の停電による通信の遮断など、日本の教室の常識が一切通用しない「絶対絶命のピンチ」に何度も直面しました。スマートフォンは圏外になり、頼みの綱の翻訳アプリはただの黒い板に変わりました。

極限状態で命を救った「拙い言葉」

そんな極限状態で私たちを救ったのは、高得点のテストスコアではありません。「We need a place to sleep(寝る場所が必要です)」「Can you help us?(助けてくれませんか?)」という、自分の口から振り絞った拙い英語と、ジェスチャー、そして現地の言葉を必死に真似ようとする姿勢でした。

現地のドライバーや村の人々は、私たちの英語が文法的に正しいかどうかなんて全く気にしません。私たちが「必死に状況を伝え、助けを求めようとする姿」を見て、初めて心を開き、助けの手を差し伸べてくれたのです。

最強の「防災・サバイバル教育」としての語学

地震や台風など自然災害が頻発し、すでに多くの外国籍住民が暮らす今の日本社会において、災害時に最も重要なのは何でしょうか。

それは、AIや機械に頼らず、自らの肉声で「助けて」と言えること。そして隣で困っている外国人に「どうしたの?(What's wrong?)」と声をかけ、協働して生き延びることです。語学教育とは、単なる学力向上のツールではなく、いざという時に自分と他者の命を繋ぐ「最強の防災教育」であり「サバイバルスキル」に他ならないのです。

私は教育現場で、生徒たちにこの「生きるための言葉の力」を伝え続けたいと強く思っています。

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