「文法テストの点数は高いのに、いざ外国人を目の前にすると言葉が出てこない…」

教育現場で長年英語を教えていると、そんな悔しい思いをしている生徒たちに数え切れないほど出会います。彼らは決して英語の才能がないわけでも、努力が足りないわけでもありません。原因は非常にシンプルで、「日本語を介して英語を話そうとしているから」です。

頭の中の「翻訳機」が会話を止める

私たちが日本語を話すとき、頭の中で「主語はこれで、動詞はこれで…」と文法を意識することはほとんどありません。目にした情景や、頭に浮かんだ概念を、そのままダイレクトに言葉に変換しています。

しかし、日本の英語学習者の多くは、まず完璧な日本語の文を思い浮かべ、それを頭の中の辞書と文法書を使って「英語に翻訳」してから口に出そうとします。このプロセスは脳に膨大な負荷をかけるため、会話のスピードに追いつけず、言葉に詰まってしまうのです。

Picture Description(写真描写)の魔法

この「翻訳の壁」を壊すための最も効果的なトレーニングが、Picture Description(写真描写)です。目の前にある写真やイラストを見て、そこに映っているモノ、色、動作を「直接」英語で描写します。

「日本語の文章」というワンクッションを強制的に排除し、「視覚情報」と「英単語」を脳内で直接リンクさせる回路(いわゆる英語脳)を鍛えることができます。さらに、「誰が・どこで・何をしているか」という客観的な事実を描写するため、「何を話そうか」と話題を探す心理的負担(Affective Filter)を劇的に下げることができます。

PicSpeakで「話す楽しさ」をシステム化する

私がオンライン国際交流コミュニティ「Global Classroom」を運営する中で、生徒たちが海外の同世代と堂々と英語でコミュニケーションを取れるようになるためには、この「即興的なアウトプット力」が不可欠だと痛感しました。

そこで開発したのが、このPicSpeakです。単なる写真の提示ではなく、音声認識を活用して「正しく言えたら光る」「WPM(話すスピード)が可視化される」というゲーム性を持たせることで、生徒たちは間違いを恐れず、夢中で英語を口にし始めます。

完璧な文法である必要はありません。まずは知っている単語を口に出し、情景を英語で切り取る感覚を掴むこと。それが、世界と繋がるための大きな第一歩になると信じています。

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